リアライン日記・・体のゆがみを取り除くリアライン・コンセプト: 3月 2011

2011年3月31日木曜日

リアラインcase study: 第5中足骨疲労骨折

第5中足骨疲労骨折(ジョーンズ骨折)は、先ごろのサッカー日本代表香川選手のけがとして有名になりました。普通の骨折よりも治りにくいことで知られています。2か月程度のギプス固定が必要で、それでも骨がつかない場合もあります。復帰を急ぐアスリートは手術を選択する場合も多いと思われます。

この怪我の治療についての詳細は内田先生(産業医大)のブログに記載されているので、ご参照ください。



さて、第5中足骨の治療に関して、どのようにリアラインが関係するかを説明します。上の写真のように、第5中足骨の付け根の部分に骨折が起こります。そのメカニズムを考えてみましょう。

原因1: つま先での蹴り方
 ランニングや歩行において、つま先で地面をけるとき(踵が地面から離れたとき)、ほぼすべての力はつま先にかかります。普通は母趾球(親指の付け根)で地面を蹴りますが、場合によっては小指側に強い力が加わる場合があります。その理由としては、
 ・捻挫くせなどで足の外側に体重が乗る場合
 ・膝がねじれている場合(下腿外旋)には、後足部が回外して、外側に体重が乗りやすくなります。
 ・つま先を内側に向けたストップ動作の習慣
などが挙げられます。


原因2: 横アーチの降下
 つま先部分の5本の骨に力を分散する役割を担うのが横アーチです。横アーチは、足をつま先方向から見たときに、上に凸のアーチ状に骨が配列していることを言います。これがtぶれてしまうと、5本の指にばらばらに力がかかることになります。この状態で、つま先の外側に体重を乗せる習慣ができると、第5中足骨に負担が集中してしまいます。

 横アーチのついては誤解があります。横アーチは強く地面をけるときつぶれなければなりません。つぶれることによって、5本の指に力を分散させることができます。横アーチを支えようと、第3中足骨の下にアーチサポートを入れる場合がありますが、これでは横アーチがつぶれることができず、第3中足骨に力が集中してしまいます。第5中足骨の負担を一時的に減らすことはできるかもしれませんが、いずれは第3中足骨が悲鳴を上げてしまいます。


原因3: 外側アーチの降下(立方骨の降下)
 第5中足骨はその隣の第4中足骨と、そして第4中足骨はその後ろにある立方骨と連結します。立方骨はその名の通り、立方体のような形をしていて、普通はあまり話題ならない骨です。

 捻挫や歩き方のくせによって、この立方骨が傾いたり、沈んでしまったりすることがあります。立方骨の前の部分が降下(=底屈)したり、前の外側が降下(回外・底屈)したりすると、第5中足骨の付け根部分が地面に接するようになり、外側アーチがつぶれてしまいます。そうすると、下の図のように、第5中速骨底が地面に接するようになってしまいます。また、それとともに、第5中足骨底は立方骨に押されて、ねじれた状態になります。

このねじれこそが、第5中足骨への回旋ストレスの原因です。これを解消しなければ再発のリスクは永遠に残されてしまいます。



第5中足骨疲労骨折の原因は

 原因1 X 原因2 X 原因3

によって起こります。つまり↑の3つの原因が絡み合って起こるわけです。その治療には、3つの原因をすべて同時に解決しながら、患部を適切に保護することが求められます。逆に、3つの原因のうち1つでも解決できない状態であれば、再発の危険性がとても高いと言わざるを得ません。


【治療法】
 疲労骨折が発覚したら、松葉杖で免荷しつつ、同時進行で患部に負担をかけない範囲で原因の1から3を直します。

①外側荷重の修正
  ・下腿内旋エクササイズによって膝のねじれを直し、足部を回内に誘導します。
  ・足関節の内側をはめ込んで、足関節を中間位に保ちます。

②横アーチの構築
  横アーチを再構築するには、立方骨、第4中足骨底を挙上して、足部全長にわたる横アーチを形成する必要があります。これであれば、つま先に強い力が加わっても、横アーチが適度につぶれてクッションの機能を果たすことができます。この部位を適切にサポートするには筋肉や腱の圧迫を避けて、適切に立方骨をサポートする必要があります。

③外側アーチの構築
 第5中足骨のねじれを防ぐには、立方骨を水平な位置に戻しそれを保つ必要があります。そのためには、立方骨を、小指外転筋の内側と外側の両側からサポートする必要があります。


②と③を同時に達成するには、立方骨を適切にサポートするインソールが必要です。リアライン・インソールはこの問題を解決するために設計されました。







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中学生 女子バスケットボールチームでのバランスシューズトレーニング効果

山口県のある中学校の女子バスケットボール部にて、リアライン・バランスシューズのトレーニング研究を実施しました。

トレーニング期間: 
  4週間(15分 X 3回 X 4週)

内容: 
バランスシューズプログラム レベルI~III
  レベルI: 両足でのスクワット、ランジ
  レベルII: 足踏み運動、サイドステップ、前後ウォーク
  レベルIII: 両足ジャンプ・着地

結果: 
 ・反復横跳び:-1回
 ・垂直跳び:-0.9㎝
 ・右片脚幅跳び:+6.8㎝
 ・左片脚幅跳び:+6.4㎝   (チーム平均)

バスケットボールの競技特性上、水平方向の移動能力に改善が得られた点はとても良い効果と考えられます。中学生という年代で、体幹や下肢筋力も不十分な状態でこのような効果が得らたことは、今後さらに応用範囲が広がることと期待されます。

ジャンプ力と反復横跳びの効果が得られなかった点については、動作の変化なども含めて精査し、今後のプログラム改良につなげていきたいと思っています。

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2011年3月30日水曜日

フィットネスクラブにおけるリアラインレッスンのご提案

リアラインの本質は、体のゆがみを整えて、様々な関節の痛みや変形を予防することにあります。つまり、元気で、運動の意欲の高い時期(年代)にこそ正しい関節の使い方を理解し、必要に応じてその矯正に取り組むことが重要となります。

これを実現する上で、最も有効なアプローチがフィットネスクラブにおけるグループレッスンやパーソナルトレーニング! 筋力強化や有酸素運動、リラクセーションとは異なり、”リアライン”すなわち関節の健康を取り戻すためのアプローチとして、新しいサービスをお客様にご提案することができます。


1.膝の変形予防のリアライン・レッスン
 バランスシューズを用いて膝のねじれを正常化します。
 それにより、膝の周辺の筋力を、理想的なバランスに整えることができます。
 またO脚の進行を予防し、またO脚進行によって起こる膝の不調を軽減します。
 そして、膝の健康は様々な有酸素運動(ダイエット)を継続するためには不可欠です。

 
2.股関節を左右対称に整えて骨盤のゆがみを矯正するリアライン・レッスン
 下肢の筋力発揮とねじれを左右対称に整えます。
 その結果、股関節の左右のバランスを整え、骨盤のゆがみを整えます。
 腰痛予防や美容法としても新しいアプローチをご提案頂けます。


3.スポーツパフォーマンス向上の下肢リアライン・トレーニング
 バレーボール選手のジャンプ力向上に象徴される効果が得られます。
 リアライントレーニングは様々なスポーツの競技特性に応じた内容に進化します。
 ゴルフや野球では骨盤のひねりを最適化するプログラムを作ることができます。


以上のようなレッスンは、現在はパーソナルトレーニングで実施されていますが、今後はフィットネスクラブなどのレッスンとして取り入れられることが予想されます。GLABでは、下の動画にある基本プログラムを提案していますが、対象者や目的に応じて様々なアレンジが可能です。是非とも一度ご相談ください。 info@g-lab.biz


また,そのトレーニング方法を↓のリンクから動画でご覧になれます。
<基礎編>


<上級編>


<アライメント矯正効果>





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2011年3月27日日曜日

リアラインコンセプトcase study: 足関節捻挫後遺症(ねんざ後の不調)の解決策について

トップアスリートも、捻挫をきっかけに思い切ったプレーができなくなり、いつの間にかスポーツのプレーやメンタルにも影響が出てしまう例があります。その原因は”足首”とは自覚していない場合もあります。しかし、足首がノーマルな状態(プレー中に気にしなくても良い状態)になるだけでパフォーマンスが大きく改善する例もしばしば経験されます。

今日は症例ではありませんが、足首のねんざの後遺症についてまとめてみます。


◆足関節捻挫後の不調について
足関節捻挫(いわゆる足首のねんざ)はスポーツで最も多く起こるけがの一つです。外くるぶしが腫れるような状態でも、1-2週間のうちにスムーズに歩けるようになり、選手の自分の判断でスポーツに復帰する例も多くみられます。


復帰までは比較的早いのですが、復帰後はそれほどスムーズに完全な状態に戻れるわけではありません。

その理由は以下の3点にあります。
 ①捻挫をすると足首が不安定になり、捻挫を繰り返しやすくなる。
 ②捻挫後に一時的に固定(または安静)することにより可動域が制限され、それが回復しない。
 ③捻挫をした足をかばってスポーツを行うため、反対の足や骨盤に負担を掛ける。

① 通常テーピングやブレースで何とか再発を防いでいる場合が多いと思います。しかし、足首周囲を圧迫することで、皮膚や皮下組織が圧迫されて筋や腱の滑りが悪くなります。それがかえって可動域の制限を強める原因になります。

② 足首の動きが悪くなると、足首の骨同士の噛み合わせが悪くなって、さらに不安定になります。底背屈方向の運動が制限されるために、余計に足首を捻りやすい横の動きが増大してしまいます。

③ 反対側のねんざや膝のけが、疲労骨折などにつながります。また左右対称ではない運動を繰り返すことで、骨盤にもゆがみが生じ、腰痛を起こしやすくなってしまいます。


◆長引く不調から抜け出すためには
結論を先に書くと、不調から脱するには足関節の動きを完全に正常化する以外にありません。完全に正常な動きとは、“捻じれ”や“つまり”の一切ないスムーズな動きを言います。見かけ上の可動域の角度ではなく、骨どうしが、まったくスムーズに滑り合う状態を意味しています。

これが達成されると、痛み、締め付け感、不安定感が解消されます。

動きの正常化は、普通のストレッチやトレーニングでは達成できません。もちろん、これらの運動療法は必要かつ重要であることは言うまでもありません。しかし、それらを理想的なスケジュールで行ったとしても、足首の動きは必ず多少は悪くなります。しばしばその異常な動きは気づかないうちに固定化します。

そこから抜け出すには、リアライン・コンセプトに沿って、関節の動きをまずは正常化する治療法を進める必要があります。その概要は以下の通りです。

 ①足首の正常な動きを取り戻す
 ②足首の正常な動きに対して抵抗する組織の緊張を弛める
 ③正常な動きを習慣化する


①足首の正常な動きを取り戻す
 捻挫後の足首はまっすぐに動かなくなってしまいます。具体的には背屈(つま先を引き上げる動き)をすると、つま先が外に向くように捻じれてしまいます。
 
 その原因は、足首の内側の動きが硬くなるためです。特に内くるぶしのやや後ろの組織の動きが悪くなると、背屈する際に足首の内側だけが上手く滑らなくなってしまいます。外側は正常に滑り込むと、つま先は外に向いてしまいます(外返し)。
 外返しの状態になると、足首の骨の噛み合わせが悪くなって、不安定になります。外返しとなった足首は、かえって内反捻挫を起こしやすい状態に陥ってしまいます。

 〇推奨エクササイズ:ニーアウトスクワット
 その解決策としては、ニーアウトスクワットが効果的です。
  1)両足をつけた状態でスクワットを行います。
  2)膝を60度程度まで屈曲したところで、つま先を正面に向けたまま、両膝を左右に開きます。この時、足部に対して下腿(すね)は外旋します。逆に、下腿に対して足部は内旋することになります。
  3)両膝を外に開こうとしながら、ゆっくりと膝を伸ばします。

 この背屈位での内旋運動を繰り返すことで、徐々に足首の内側の滑りが改善します。それが完全な状態になると、真っ直ぐに背屈できるようになり、骨の噛み合わせもよくなるので背屈位でしっかりと安定した状態が得られます。

 ただし、重症のねんざ後など上の方法だけでは改善しない場合は、②の方法に進む必要があります。


②足首の正常な動きに対して抵抗する組織の緊張を弛める
 ねんざのときの腫れ、その後の固定、そしてテーピングやブレースの圧迫など様々な理由で、足首周辺の皮膚はその奥にある筋膜、腱、骨膜などと滑りにくくなります。皮膚をつまんでみて痛い場合は、正常な滑りが失われていることを意味します。

 特に滑走不全が起こりやすい場所は、
 1)アキレス腱周辺
 2)内くるぶしの上周辺(脛骨の骨膜上)
の2か所です。これらの部位の皮膚をつまんでみてください。つまんで痛くなければ、つまんだまま足首を動かしても痛くないはずです。もしつまんで痛ければ、足首を動かす時にその皮膚が足首の動きを邪魔しているのが感じられます。ねんざ後など動きが悪くなった状態では、皮膚をつまむことすらできないこともしばしばみられます。

 私のリアライン・コンセプトでは、このような正常な関節の動きを阻害するような皮膚や筋の緊張を徹底的に治療します。どこの皮膚をつまんでも、足首の動きと皮膚とが連動しないようになることが目標です。

 皮膚をつまんだままで足首を動かすと普通は痛みがります。しかし、3-4回足首をゆっくりと動かすうちに痛みが軽くなり、しまいには痛みが全くない状態になります。これでそのつまんでいる場所は足首の動きを邪魔しない状態が得られたわけです。これを足首の動きが正常になるまで繰り返します。


③正常な動きを習慣化する
 一度正常な足首の動きが得られた、スクワットやカーフレイズなどの足首の動きにおいて、痛みやつまり感が消失します。つまりスムーズで軽い足首がよみがえります。そうなると、骨どうしの噛み合わせもよくなって、背屈位の安定性も改善します。
 ここまで到達したら、次に足首周辺の筋肉を徹底的に鍛えて、筋肉によって足首を安定させる必要があります。その際、次の注意点があります。
 まず、ゴムチューブによる腓骨筋トレーニングは、噛み合わせの悪い外反位の足首に引き戻す! ゴムチューブを使っての腓骨筋のトレーニングは、つま先を外に向ける運動になります。これを繰り返すということは、つま先が外に向いた外反位を固定化する原因になります。これを防ぐには、つま先を外に向けずに足の裏の外側を引き上げる運動(回内)を繰り返すようなトレーニングを行う必要があります。

 このトレーニング法として最適なのが、リアライン・バランスシューズ(足関節用)を用いたトレーニングです。これは下の写真のような斜めのバランス軸(突起物)が足の裏についていて、この上でバランスを取るには、小指側を持ち上げる必要があります。

 つまり、普通にスクワットを繰り返すだけで、つま先を真っ直ぐに向けたままで、踵骨を回内するために必要な筋力を鍛えることができるわけです。

 捻挫の後のトレーニングとして、つま先を外に向けず、踵骨回内を行うことができるようになれば、ねんざ後の後遺症を劇的に軽減することができます。スポーツ現場やリハビリのトレーニングでは是非とも使っていただきたい道具になります。





⇒ 治療を受けたい方はアオハルクリニック「ゆがみ外来」にお越しください。
   http://www.aohalclinic.jp/



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2011年3月26日土曜日

リアラインコンセプトcase study: 鼠径部痛症候群(スポーツヘルニア)

鼠径部痛症候群は以前はスポーツヘルニアという診断名で有名になりました。近年、スポーツヘルニアは鼠径部痛症候群の多様な病態の一部と位置付けられています。手術適応は、3か月以上の保存療法に反応しない場合にほぼ限定されており、また手術後の回復も必ずしも良くない例もあります。このことから、初期の保存療法が特に重要視されています。

特にサッカー選手に多く発生します。これが原因で引退するJリーガーも多いと聞きます。また、高校や大学のサッカー選手も、鼠径部痛症候群のために長期間練習できない選手も多いと聞きます。

引退を決めるのは、このブログをじっくり読んだ後にしましょう。慢性的な鼠径部痛に悩まされているスポーツ選手とその治療にあたるセラピストに治療のヒントを得てもらうため、私が経験した症例を紹介したいと思います。


【プロフィール】
 高校2年生のサッカー部主力選手。

【評価】
 痛みは、鼠径部周辺、鼠径靱帯、腹直筋起始部付近に圧痛あり。右股関節伸展による腸腰筋ストレッチおよび歩行の右立脚期、いずれも鼠径部から腹直筋起始部付近にかけて疼痛。正常歩行はできず、左荷重でゆっくりとしか歩けない。ジョギング不可能。

 背臥位での股関節開排では、右に可動域制限と鼠径部の疼痛出現。

 アライメントは右寛骨前傾、右恥骨が下制位であり、徒手的に右寛骨を後傾させると右股関節の開排制限は消失。すなわち開排制限の原因は恥骨結合の上下のずれによるもの。

 鼠径靱帯は上前腸骨棘と恥骨結合を結ぶ直線から下方(遠位方向)に凸に彎曲。 


【治療】
治療方針
 1)鼠径部拘縮の解消
 2)右寛骨の後傾、右恥骨の挙上
 3)下部腹横筋による骨盤安定化
 4)股関節周囲の2関節筋の柔軟性回復

1)皮膚リリース: 筋の柔軟性に対策を加える前に、まず皮膚と皮下の筋との間の滑走性を確認し、滑走性の不良があれば皮下組織のリリースを実施。具体的には、大腿筋膜張筋、縫工筋起始部、鼠径靱帯上、そして腹直筋起始部付近の皮膚の滑走性を改善。背臥位および立位で右寛骨を前傾させる軟部組織の緊張を解消することに成功。

2)寛骨のリアライメント: 骨盤ローリングエクササイズによる寛骨対称化、左ヒールプッシュ(右腹直筋の単独収縮)による右恥骨の挙上。以上により、寛骨の対称性を獲得。

3)腹横筋下部は、強制呼気による腹横筋単独収縮を促すことによりコントロール可能に。

4)特に長内転筋、大腿直筋上の皮下組織・筋膜間のリリースを行うことにより、正常な筋緊張レベルを獲得。

【結果】
以上の治療を実施(約30分)により、active SLR、歩行時の疼痛は完全に消失。右腸腰筋ストレッチの肢位では、腹直筋起始部の疼痛がわずかに残存。軽いジョギングは可能なレベルに疼痛寛解。


【まとめ】

鼠径部痛症候群(スポーツヘルニア)は慢性化しやすく、難治性であることはよく知られている。これが原因で競技生活の引退を決断せざるを得ない場合も多い。

このような病態に対して、徹底した皮膚のリリースにより、鼠径部拘縮が解消されれば、骨盤アライメントの対称化と安定化が得られやすくなる(リアライン)。鼠径部拘縮の解消と骨盤対称化の2つが達成されることにより、ほぼ疼痛は寛解する。

その後は、この状態を持続するため安定化トレーニングが必要となる(スタビライズ)


⇒ 治療を受けたい方はアオハルクリニック「ゆがみ外来」にお越しください。
   http://www.aohalclinic.jp/



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男子バレーボール「プレミアリーグ」 堺ブレーザーズおめでとう!

堺ブレーザーズ 
プレミアリーグ優勝おめでとう!


リアライン・バランスシューズを毎日の練習で使っていただいている同チームの優勝を祝福します。今後のさらなる進化を記念しております。


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2011年3月25日金曜日

リアライン・インソール・フェムの効果の秘密

テレビ東京のワールドビジネスサテライト、日経ヘルス、Poco'ceなどで紹介されたリアライン・インソール・フェムが、どうしてハイヒールの履き心地を劇的に改善するのか、その秘密を説明します。


靴は別売りです。

 
なぜハイヒールを履くと疲れるの?
大きな理由は3つあります。
 1.足が靴の中で前に滑ること
 2.足が外に傾くと、ヒザがねじれて、骨盤をゆがませるような力が発生する
 3.以上の結果、ヒザと腰をまっすぐに伸ばせなくなる
これらの問題は、踵が高いことだけではなく、靴の中のつま先部分の構造にも問題があります。世界のハイヒールメーカーはこの問題をこれまで解決することができませんでした。
 
やわらかい靴は足にやさしい?
答えはNOです。足の甲の部分の皮が軟らかいと、靴の中で足がぐらぐらと移動します。その結果,皮は引き伸ばされ、足はさらに移動しやすくなってしまいます。足を靴の中心に保つためには、ある程度硬い皮を使う必要があります。
 
もう一つ、靴底が軟らかいと、靴の中で足が傾いたときに、靴自体もねじれてしまいます。靴がねじれると、そのねじれはすねに連動し、ヒザにもねじれが生まれます。その結果、ヒザを伸ばしにくくなり、ヒザを曲げていないと歩けくなってしまうのです。
 
それでは、これまで買ったハイヒールは全部だめ?
そんなことはありません。もしご自宅の靴箱に、滅多に履くことのない15000円の靴が5ペアあるとしましょう。75000円が眠っていることになります。それらをよみがえらせる方法としてインソールをお勧めします。
 
インソールは軟らかいものがよい?
ハイヒールを履くと、つま先へに70%以上の体重が乗ってしまうため、つま先が痛くなります。そうすると、どうしてもクッション性の良い、軟らかい中敷きを選びがちです。 

しかし、軟らかいインソールをつま先に貼ると、足の裏の圧迫は少し軽減されますが、つま先のふらつきはかえって強くなってしまいます。つまり、つま先は楽になっても、ひざや腰はかえって疲れやすくなってしまうのです。

このため、私は軟らかいだけのインソールは絶対に避けるべきだと考えています。軟らかくて、なおかつつま先のふらつきを防ぐような設計のインソールのみお勧めします。


 
リアライン・インソール・フェムの効果の秘密とは?

①アーチサポート
 足には3つのアーチがあるといわれます。内側、外側、そして横アーチ。
 これらのアーチは、足をドーム球場の屋根のような立体的な形にしています。

 ところが、3つのアーチのうち、特に外側のアーチがつぶれると、ドーム状の屋根がつぶれてしまったように、足の立体的な形が崩れてしまいます。その結果、開帳足や外反母趾にへと進行。
   
 フェムでは、特にこの外側のアーチをしっかりとサポートするための特殊な凹凸が作られています。

 そして、立方骨という骨を支えることで、不思議なことに内側と横アーチも作られてきます。つまり1点で3つのアーチをサポートする作用を備えていることになります。


②つま先サポート
 ハイヒールの悩みの一つがつま先の体重が乗る部分が痛くなること。これは靴底が傾斜しているので、つま先部分の負担がどうしても増えてしまうためです。

 つま先の負担を減らすには、体重が乗る部分の面積を広げることが最も効果的。荷重面積が2倍になれば、足の裏への圧は半分になります。これによってつま先の痛みの程度は劇的に軽減されます。



以上の結果、
 足の前すべり
 ふらつき
が解消され、しかも踵に体重がしっかりと乗るようになるため、
 ヒザと腰がまっすぐに伸ばせる
ようになります。

つまり、10cmのヒールでも、スニーカーを履いているのと同じ姿勢で立ったり、歩いたりできるようになるのです。



Q&A
①少し値段が高い?
 このインソールを開発する中で、2000人以上の足の治療経験を経て、また数多くの試作を重ねて発売にこぎつけました。また原材料の高騰の影響もあります。何よりも、病院などでも治療用に使ってもらえるよう、確実な効果を得るための工夫が注ぎ込まれています。

②凹凸は大丈夫?
 足の裏から立方骨など重要な部分を確実にサポートするためには、ある程度の凹凸は必要です。基本的には筋肉や腱がないところに突起がはまりますので、ほとんどの人は違和感なく使用できます。

 ただし、足のねん挫などけがの既往歴のある方、足の外側のアーチが極端につぶれている方、足裏の筋肉が極端に張っている方、などでは不快感が出る場合があります。そのような方は、青竹ふみを1-2週間じっくりと時間をかけて行ってください。立方骨が持ち上げられると足の裏の不快感は軽くなります。

 フェムを履いて痛くないような足を目指すことが、長期的に足の健康を保つためには重要です。しかし、それでもフェムが硬すぎると感じる場合は、使用を中止するほうが良いと思います。

③どんなハイヒールでも大丈夫?
 基本的には5cm以上のヒールを念頭に置いて作っていますが、2cm程度のほぼヒールのない靴でも快適に使っていただいております。

 装着して、つま先部分の横や足の甲の部分の締め付けが強い場合は、靴自体のサイズがやや小さいために起こる問題です。少し緩めの靴でお試しください。

 ハイヒールを横から見たときに、靴底が大きくカーブ(上に凸)しているような靴では、立方骨を支える突出部が足の裏を強く刺激します。できるだけ靴底が平らなタイプのハイヒールでお試しください。

 

 ご不明な点があれば、GLABshopまでお問い合わせください。
shop@g-lab.biz



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フリー雑誌 Poco'ceにハイヒール用インソール ”リアライン・インソール・フェム”が紹介されました

JRのKIOSKやコンビニのレジ付近におかれている人気のフリー雑誌Poco'ceに、GLABのハイヒール用インソール“リアライン・インソール・フェム”が掲載されています。

3月25日から4月24日までのキャンペーン情報も掲載。

キャンペーンを実施しているサイトはこちら↓↓です。
      Bouno!  http://www.buono.in/


さらに、超快適な9cmハイヒール RAMENTA Rの販売店、そしてアオハルクリニックの「ゆがみ外来」に関する情報も。。。

都内の女性だけではなく、このブログを見た全国の女性がこのキャンペーンに参加可能です。下の紙面の写真を拡大して記事をご確認ください。








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2011年3月21日月曜日

ガンコな首の痛み、肩こりでお悩みの方のために・・

先日アオハルクリニック(六本木)での診療で、頸部の痛みの治療として医療機関、治療院、フィットネスクラブ、パーソナルトレーニングなど、数十か所を訪問してまわったという方の治療を担当しました。症状が出たのは何と21年前。この間、治療費だけでも数百万円は使ったとのことでした。

ご本人の治療は途中ですが、今後このような肩や首の悩みを抱えている方、特に解決策が長年見当たらなくて深く悩んでおられる方に少しでも光を届けたいと思い、紹介させていただきます。


病歴
主訴は『頸部痛』。左側の首の付け根の筋肉の痛みです。正確には斜角筋という筋肉がとても強く緊張しています。

この方の治療歴としては、
 ・まったく効果がなかったもの:湿布、牽引、電気治療など
 ・少し一時的な効果があったもの:姿勢改善エクササイズ、ブロック注射
 ・劇的な効果があったもの: な し

「精神的な問題」 と片づけられてしまうのが最も腹立たしいとのこと。私も同感です。精神疾患や心理テストも行わずにこのような所見を下すのは、完全に治療者の怠慢です!

さらに、これまでに50冊以上の健康書を読破され、大変知識も豊富です。症状についても正確に解剖用語を使って説明されます。ご本人の説明も的を得ていて、とても的確に症状を説明されました。

職業はある機械メーカーで、製品の運搬・積み下ろしなど。肉体的なストレスの強い職業です。


身体所見
全体的な身体的な特徴を記します。
 ・体型的はかなりやせておられます。
 ・円背姿勢で、頭部が胸郭に対して前に位置しています。
 ・左右の対称性はわずかに崩れていますが、軽度です。

安静時の痛みは左斜角筋に限局しており、 首の右回旋や右側屈で左斜角筋に痛みが生じます。
疲労すると、肩の後部(三角筋、棘下筋、菱形筋)などにも鈍痛があります。

腕へのしびれはありません。しかし、腕の位置を変化させると、指先に少し症状がみられます。極めて軽度ですが、胸郭出口症候群のような症状があります。

頚椎のヘルニアについては言及されていません。おそらく、これまでの治療歴でそれほど重要視はされていないのだと思います。


問題点
骨格的な問題として、猫背(円背)が強い点があります。その原因としては、
 ①みぞおち付近の肋骨が開かないため、胸郭が全体的に下制(下がった状態)
 ②肩甲骨は外に開き、肩先は前に突き出した状態
 ③頭部は胸郭に対して前方に位置している

そして、これらの状態が固定されていて、可動性が低下しています。つまり、悪い姿勢で固まってしまっている状態といえます。

これらの姿勢の異常に対して、私が手を使って理想に近いアライメントに修正してみたときの斜角筋の状態を確認すると、その緊張はわずかに軽減されますが、圧痛はほとんど変化しません。つまり、アライメントの修正は直接症状の変化には結びつかない可能性があります。

そこで、治療方針としては。
 ①アライメントの修正(円背の修正)
 ②上位肋骨(斜角筋の付着部)の可動性改善
 ③斜角筋そのものの可動性、滑走性の改善
としました。


治療経過
①アライメントの修正(円背の修正)
 胸郭全体のアライメントを変えるのは容易ではありません。胸郭の下部の可動性を取り戻し、息を吸うときや後屈するときに、下部胸郭が横に開きやすい状態を作り上げる必要があります。これには、肋骨周りの皮膚も悪い姿勢の胸郭に貼りついてしまっているので、皮膚を十分に動かし、肋骨間の可動性を取り戻す必要があります。

 下部の胸郭が開きやすくなると、上部の胸郭は挙上しやすくなります。つまり、肋骨を十分に動かして、楽に息を吸うことができるようになります。これによって、通常は肋骨周辺、肩甲骨の筋が緩んでくれます。
 
 しかし、この方の場合はほとんど肩周辺の筋の緊張に改善はみられません。考えられるのは、肩甲骨と胸郭との間にある滑液包の癒着、そしてランドセル症候群(肩の上の皮膚の付着)です。

 これに対して、肩の上で、肩甲骨から鎖骨にかけての皮膚を滑らせる治療をしました。これにより、肩甲骨の上部が胸郭から少し後方に解放され、指先を胸郭と肩甲骨の間に滑り込ませやすくなります。
 
 次に、肩の後方の緊張があるため、肩の水平屈曲の制限があります。つまり、肘を顎に向けて引っ張った時に、肘と顎の間に30cm以上の距離があります。肩の後ろが硬くなると、これが肩甲骨を外に引き出してしまいます。三角筋後部線維を棘下筋から上方に滑らせる治療を行うと、この緊張が改善して、上記の問題が解決されました。
 
 
②上位肋骨(斜角筋の付着部)の可動性改善
 肩甲骨が胸郭から解放されると、上位肋骨の可動性が劇的に改善しました。これにより、肩甲骨を介した上位肋骨のモビライゼーションを行いやすくなり、その効果も得られてきます。
 
 具体的には、仰向けで、胸の上で両手を組んだ状態から、できるだけ両手を天井に向けて突き出した状態(肩甲骨を前に突き出した状態)で、天井に小さな円を描くように両手を動かします。徐々にスムーズな円を描けるようになるので、徐々に円の直径を25cm位にまで広げます。これにより、肩甲骨に押されて肋骨が徐々に動きを取り戻します。
 
 
③斜角筋そのものの可動性、滑走性の改善
 ここまでの治療で、肋骨が動きを取り戻し、斜角筋もわずかに緩んできましたが、まだ押したときの痛みは残っています。ここから先は、斜角筋そのものが、周辺の他の筋や組織から解放されて自由に動けるように、滑ることができるように治療を進めます。

・斜角筋は前、中、後と3つに分かれるので、それらの間をリリースして筋間の滑りを改善。
・斜角筋の前には頚椎の前の筋(椎前筋)、そして胸鎖乳突筋があります。これらの筋との間をリリースして、頚椎を伸展させるときに斜角筋が頚椎に対して後方に滑るように促します。
・斜角筋の表面にはリンパや細かい深頚があり、これらがある程度位置を保つようにゆるい結合組織があります。これらの結合組織が斜角筋の筋膜上で滑るように促します。

上記の治療を進めることにより、斜角筋は周囲の組織から解放されて、柔軟性を取り戻しました。この時点では、頚椎の回旋や側屈、そして指で押した際の痛みはほぼ消失していました。


効果の持続性について
今回の1回の治療の経過は上記のとおりです。少し長めに約1時間かけて上記を進めました。その効果の持続性については現時点ではわかりませんが、患部そのものは確実に改善に向かうと思います。

心配な点としては、21年間もこのように頚椎、肋骨、肩甲骨が固定されていて、その状態で胸郭周辺のすべての筋が緊張のバランスを保ってきました。今回、斜角筋の緊張を緩めることに専念した治療を行いまいたが、その結果として緊張のバランスが崩れてしまいます。その結果、肩甲骨の下方、腰部などにこれまで感じていなかった不快感が生じる可能性は高いと思われます。

胸郭周辺の筋の緊張を全体的に緩める方法として、ストレッチポールを使った「ソラコン」というエクササイズがあります。ソラコンは、胸郭の可動性と対称性を再獲得させるための運動ですので、まさに今後の胸郭全体の緊張の緩和には必要な運動といえます。

また、頚椎椎間板ヘルニアや胸郭出口症候群のような神経学的な症状がある場合は、話はもっと複雑になります。首から手にかけて神経に沿って、神経そのものの滑りを阻害するような圧迫や癒着がないことを確認し、もし問題があれば神経が自由に滑ることができる状態にしなければなりません。

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◆詳しくは・・・・
 4月末発売のコアセラピーの理論と実践(講談社 2011)の第2章、第9章)を参照してください。
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2011年3月20日日曜日

アスリートにおける大転子拘縮の問題


スポーツメディシン(ブックハウスHD)に2001年に紹介した「大転子拘縮症候群」について書いてみたいと思います。


そもそも大転子拘縮とは何か? 

 大転子周囲に付着する組織が互いに滑らなくなる状態をいいます。互いに緊張を伝達しあうため、股関節の運動域を減少させます。

 たとえば歩行において、左の股関節に大転子拘縮があるとします。そうすると左の股関節伸展制限を補うため、歩行中には左の骨盤を後方に引きながら歩くことになります。

 ランニング゙でも同様に左の骨盤を後方に引きながら走ることになり、股関節のパワーを有効に使えなくなってしまいます。長距離選手の場合は、大腿外側の筋疲労が起こりやすく、レース後半に歩幅を維持できなくなることになります。

 今回は、主にランナーの大転子拘縮の問題点と解消法をまとめることにします。


大転子拘縮の原因は? 

 大転子は股関節の外側にあって突出しています。このため側臥位での睡眠では長時間にわたって圧迫にさらされ、その周辺の組織が正常な滑走性を失ってしまいます。

 その結果として、大転子周辺に付着する
 ・大殿筋、中殿筋、小殿筋
 ・大腿筋膜張筋
 ・腸脛靭帯
 ・外側広筋
などが互いに独立した収縮ができなくなってしまいます。

 さらに、これらの上には皮下脂肪と皮膚があって、これらも筋肉の滑りを邪魔することになります。

 性差・体型 大転子拘縮は一般に女性によく見られます。皮下脂肪の滑走不全は、殿部の脂肪のかたまりの原因にもなります。その原因は、おそらく女性のほうが大転子が外側に突出しており、側臥位での荷重量が大きいためと考えられます。体重が重いほど、そして皮下脂肪が厚いほど子の滑走不全が起こりやすくなると推測されます。ただし、男性に起こらないわけではなく、男性にも高頻度に見られます。
 

 睡眠との関係
 薄めの敷布団は、背臥位では脊椎アライメントを整え、骨盤の対称性を取り戻すためにとても良い環境といえます。ところが側臥位では、通常股関節屈曲位で大転子が持続的に圧迫されるので、股関節屈曲位の状態で大転子拘縮が進行します。つまり、股関節伸展に抵抗するような大転子周囲の軟部組織の緊張が生じるわけです。

 比較的軟らかく、圧の分散に優れた敷布団やマットレスは、大転子拘縮の予防には有効と推測されます。また、比較的軽い布団で寝返りを繰り返す方が、拘縮を作りにくいと考えられます。寒い部屋で、重い布団にくるまり、ほとんど寝返りもせずに寝ているのが問題なのではないでしょうか?
 欧米では、セントラルヒーティングが普及していますので、部屋の温度を一定に保って就寝します。このため、冬でも特別重い敷布団を使う必要がなく、比較的自由に寝返りを打つことができます。断熱性に問題があり、低い室温での睡眠はもしかしたら一つの危険因子かもしれません。
 

 大転子拘縮がもたらす問題とは?

(1)膝への影響
 大転子拘縮が起こるとまず間違いなく腸脛靭帯や外側広筋の緊張が強くなります。さらに、大殿筋や中殿筋の緊張を伝えることになるので、必要のないタイミングで外側広筋の収縮が起こる場合もあります。その結果、腸脛靱帯炎や膝蓋大腿関節障害など、膝に問題が生じやすくなります。

 逆に言うと、膝周辺に痛みが生じたとき、必ず大転子拘縮の有無を確認する必要があります。それを排除しない限り、痛みのメカニズムは解消されません。


(2)腰椎・骨盤への影響
 左股関節に大転子拘縮があると、骨盤を左に回旋しながら運動することになります。その結果、腰椎にも異常な回線ストレスが加わり、腰痛の原因となることがあります。

 もう一つ、左股関節の伸展が制限されると、それを補うため、左の寛骨が前傾します。つまり骨盤のゆがみをもたらすわけです。

 さらに厄介なことに、左の大殿筋の収縮が、正常に仙腸関節を介して反対側の胸腰筋膜に伝達されなくなってしまいます。すなわち、左大殿筋の収縮が、同側の胸腰筋膜や同側の拮抗筋に伝達されることになります。この時、もしも反対側の大殿筋の緊張が正常に仙腸関節をまたいで伝達されるとすれば、仙骨は常に右に引かれることになります。徐々に仙骨は左に傾斜し、尾骨は右に偏移して、仙腸関節にずれが生じてしまいます。

 すなわち、腰痛や骨盤痛、仙腸関節痛の治療においても大転子拘縮の有無は必ず確認しなければなりません。


大転子拘縮の解消法とは?

 大転子拘縮がいったん発生すると、運動やストレッチは解消できません。また、寝具の改善は、将来の大転子拘縮の発生や悪化の予防には効果的ですが、いったん起こってしまった大転子拘縮にはそれほど効果をもたらすものにはなりえません。

 大転子拘縮を解消させるには、組織間を滑らせることが必要です。それには以下のような手順が望ましいと思われます。

①リアライン
 骨盤に非対称性がある場合は、仙骨を正中に、そして両寛骨を左右対称な位置に矯正します。それによって、骨盤周囲の筋の緊張がある程度軽減されます。
 
 次に、股関節のリアラインを行います。背臥位で股関節を内・外旋させると、大腿骨頭が臼蓋内で前後に移動します。その結果、股関節周囲の筋の緊張がある程度は軽減されます。

 軟部組織リリース
 皮下脂肪と筋膜・腸脛靭帯との間を滑らせるため、皮下脂肪をつまんで、その深層の組織からリリースします。つまんだ時に痛みがあれば、皮下脂肪の滑走性が悪いことを意味します。リリースが完成すると、皮下脂肪をつまんでもまったく痛みがない状態になります。

 筋間リリース
 次に、股関節の伸展と屈曲の両方に関与する中殿筋について、前方では大腿筋膜張筋、後方では梨状筋との間で滑走性を改善します。

 股関節伸展では中殿筋と大腿筋膜張筋間の緊張の伝達を解消、股関節屈曲では中殿筋と梨状筋間の緊張の伝達を解消します。これにより、中殿筋は伸展・屈曲に抵抗しない筋として、本来の役割を果たすことができるようになります。

 中殿筋が解放されたら、大殿筋と外側広筋、外側広筋と大腿筋膜張筋など、互いに隣接する筋が緊張を伝達していないことを確認し、必要に応じてリリースを行います。


②スタビライズ
  上記のような軟部組織のリリースが進むと、股関節周囲の筋の単独収縮を行いやすくなります。股関節伸展機能も改善し、歩行やランニングにおいて骨盤の代償を使わなくても股関節伸展がスムーズにできるようになります。

 スタビライズの段階では、このような単独収縮、単関節運動を徹底的に鍛え、せっかく得られた異常な緊張伝達のない状態での筋機能を最大限に高めます。  





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2011年3月19日土曜日

リアライン・コンセプト: 膝の変形に悩む方のために RRRプログラム

リアライン・コンセプトとは、僅かな関節のゆがみを見逃さずにしっかりと改善または軽減させて、関節の痛みや不調を治療する方法です。うまく使えば、様々な関節の痛みの予防、そしてスポーツパフォーマンスの改善が得られます。

その実例として変形性膝関節症(膝のO脚変形)について紹介します。

 膝のO脚変形は、若い人でもみられますが、ふつうは50歳以上の方に多く見られます。病院でレントゲンを撮ると、「加齢のために軟骨がすり減っている」、と言われます。年のせいにされると、どうしてもあきらめモードになってしまいますが、必ずしも解決策が無いわけではありません。

◆解決策1: 膝の捻じれを矯正
 正常な膝には約20-30°の回旋運動(ねじれ運動)があります。膝を伸ばすとすねは外向き(外旋)に、膝を曲げるとすねは内向き(内旋)に動きます。変形が進みやすい膝は、すねが外に向いたまま(外旋位)となっています(Saari 2005 )。

 O脚の進行予防または治療において、この捻じれを正常化することがとても大切です。すねが外旋していることから、治療や予防においてはすねを内旋させる運動が重要になります。

 簡単な方法として、椅子に座り、膝を90度に曲げた状態で、つま先を内向きに十分捻ります。次に、つま先を内に向けたままで膝を曲げたり伸ばしたりを繰り返します。これだけでも膝の捻じれを改善し、膝を伸ばしやすく、また力を入れやすくなります。

◆解決策2; 足の裏から膝の捻じれを矯正
 運動である程度捻じれを改善したとしても、立ち上がって歩くうちに徐々にいつもの悪循環がよみがえってきます。それを防ぐには、足の裏を適切に支えることによって、すねの捻じれを防ぐ必要があります。

 すねが外に捻じれる時、足の裏では踵の外側に体重が乗ります。靴のかかとの外側がすり減るひとは、ほぼ間違いなくすねは外に捻じれています。

 それを防ぐには、足の3つのアーチのうち、外側のアーチを支える必要があります。外側のアーチは立方骨という骨(外くるぶしのやや前下方にある骨)を持ち上げることが必要です。

 立方骨を持ち上げるには、昔ながらの「青竹ふみ」に勝る方法はありません。青竹の頂点に立方骨を乗せて、数十秒から数分間じっくりと体重をかけることがポイントです。

 次に立方骨を支える中敷き(インソール)を使用すると、歩きながら膝の捻じれが悪化するのを防いでくれます。リアライン・インソールは、このような目的で、O脚の膝の予防や治療に不可欠なツールとして病院や整形外科医院などで使われています。

 リアライン・インソールは医療機関またはGLABショップでお求めいただけます。詳細はhttp://www.glabshop.com/ をご参照ください。


<研究の動向>
 福岡リハビリテーション病院といまむら整形外科医院では、リアライン・レッグプレスの1回の治療の即時効果が確認されました。これらの研究は、7月に長崎で開催される臨床整形外科学会にて発表します。また1-2週間の短期効果についても検証を行います。


 また、現在上記の治療法の有効性についての研究を進めています。長崎県の貞松病院では、膝の捻じれを矯正するリアライン・レッグプレスを用いたトレーニングとリアライン・インソールとを組み合わせた治療法についての臨床研究(無作為化対照研究)を開始しました。治療期間は4週間ですが、おそらく1週間以内に明らかな症状の改善、歩行機能の改善が得られるはずです。
 



リアラインコンセプトcase study: 椎間板ヘルニア(実は仙腸関節痛)

症例は32歳男性、診断名は腰椎椎間板ヘルニア。病態としてはヘルニアを否定する情報が得られた。骨盤の不安定性とマルアライメントが著明なため、まずはこちらの治療を優先。軟部組織のリリースにより、立位および歩行によって骨盤アライメントの対称化と安定化を図ったところ、直立姿勢および歩行中の痛みが消失した症例を紹介します。


病歴: 
 約2か月前から骨盤痛出現、3月11日の地震の際に数時間歩いて症状増悪。MRIにて腰椎椎間板ヘルニア指摘。

症状:
 立位姿勢困難、体幹は屈曲・左側屈。直立位は疼痛のため不可。
 端坐位では直立姿勢可能、腰椎後弯可能。
 SLR50度、Lasegue sign陰性
 神経学的所見:足部筋力、感覚、反射いずれも正常
 
アライメント: 
 仙骨左傾斜(尾骨は右方向)
 寛骨上方開大、仙腸関節不安定

病態のまとめ
 MRIにてヘルニア指摘されたが、症状とは一致しない。腰椎後弯可能であり、足部の神経症状もないことから、立位姿勢困難となった骨盤部痛の原因として骨盤輪不安定症を仮定。

治療:
 1)左大殿筋周囲、大転子周囲、鼠径部周囲のリリースによる大転子拘縮の解消
    ⇒大殿筋の機能改善、中殿筋・腸脛靭帯の緊張緩和

 2)大腿筋膜張筋から中殿筋をリリースしつつ、股関節自動伸展(大殿筋)エクササイズ
    ⇒仙骨傾斜の解消

経過:
 以上の治療により、直立姿勢が可能となり、歩行時痛も消失。リアラインのみで即時効果が得られた症例でした。今後は、良好な骨盤アライメントを保持するため、さらなる腸脛靭帯・中殿筋・鼠径部のリラクセーション、左大殿筋の強化、そして腹横筋下部(骨盤部)の持続的収縮を得ることによって骨盤のスタビライズを図る。


<リアライン・コンセプトについて>
 ①リアライン(アライメントの修正)による即時的な疼痛改善を得る、②スタビライズ(筋活動)によるアライメントの安定化、③コーディネート(動作改善)による再発予防、の3ステップで疼痛や不調を改善し、運動機能を再獲得する治療概念。 http://www.realine.info/

2011年3月15日火曜日

【重要】 SPTS・リアラインセミナー開催見送りのお知らせ

SPTS・リアラインセミナー
 受講者各位
 座長・講師・発表者各位
 関係者各位


いつもお世話になっております。

この度の震災において被害を被られている皆様に心から
お見舞い申し上げます。

【連絡事項】
 320日 SPTS
 321日 リアラインセミナー
の開催見送りをお知らせいたします。

昨日の時点で、横浜において週末までに混乱の軽減が進むものと判断し、
一旦SPTS・リアラインセミナー開催の方向で準備を進めておりました。
しかしながら、本日の時点で、関東地方に交通や停電に関わる混乱が
続いていること、また福島の原発の状況も見通しが立たないことから、
20-21日のセミナーの開催を見送らさせていただくことに決定致しました。

セミナーの延期または中止を含めた今後の対応につきましては、
今後の復旧および諸事情の推移を判断し、別途通知させていただきます。
先生方には日程調整を含めて、再度ご相談させていただくことになると
存じますが、その際にはよろしくお願い申し上げます。

まずは、第一報として「開催見送り」のお知らせとさせていただきます。

SPTS世話人
蒲田和芳

2011年3月11日金曜日

皮下組織リリースへのご質問への回答


私のfacebookの書き込みに、元ボクシング世界チャンピオンの飯田選手が質問してくださいました。 「筋肉上で皮膚がスムーズに滑る…」もう少し“理屈”を具体的に知りたいです。
   
  
以下、回答です。
例えば、肘を曲げた状態で上腕二頭筋の上の皮膚をつまんでみてください。つねる感じです。普通は痛いですね。
 
その状態から、ゆっくりを肘を伸ばします。すると、もっと痛いはず。これはつまんでいる皮膚(皮下脂肪)と筋膜との間が滑っていないために起こる痛みです。
 
痛みを少し我慢しながら、肘の屈伸を5回程度繰り返してください。そうすると徐々に痛みが消えていきませんか? 痛みが消えたら、皮膚と筋膜が滑ったことを意味します。
 
これを私は皮下組織リリースと読んでいます。
 
これを筋肉と筋肉の境目あたりを中心に行ううちに、上腕二頭筋はまるで赤ちゃんの筋肉のように柔らかくなります。このような変化は、全身の筋肉に起こります。
 
肉離れなど、筋肉に炎症が起こると、筋肉と皮膚、筋肉と筋肉などあちこちが滑らなくなります。それを放置しても、絶対に筋肉の柔軟性は回復しません。
  
長くなりましたが、まず第一段階として上のような回答でいかがでしょうか?

リアラインコンセプトcase study: 膝関節外側半月板損傷+軟骨損傷

◆病歴:
 22歳女性、バドミントン選手 14歳からひざ痛、高校生から大学生にかけて3回の鏡視下手術を経験(本年2月上旬に3回目)。

◆現症:
 腫脹(+)、外側半月板はほぼ全摘、関節軟骨の損傷も著明、スポーツをすると腫れる。伸展制限10度、下腿外旋、脛骨後下方に落ち込み。靭帯はintact。


◆方針: 
 ①リアライン: 伸展制限、下腿外旋の矯正
 ②スタビライズ: 大腿四頭筋・内側ハムストリングス機能改善
 ③コーディネイト: 動的アライメント(動的外反)の矯正
 
◆実施した治療
 ①に関して
   ・皮膚リリース(腓骨筋、腸脛靭帯、外側広筋、大腿二頭筋、鵞足、膝蓋下脂肪体など)
   ・筋間リリース(腓骨筋・腓腹筋外側頭、大腿二頭筋・外側広筋など)
 ②について
   ・下腿内旋エクササイズ(内旋位での膝伸展屈曲、リアラインレッグプレス)
 ③について
   ・Knee-out squat


 1回目の治療により、ベッド上での評価では膝伸展制限はほぼ解消、下腿外旋もほぼ解消したが、荷重位になると大転子周囲や大腿外側の滑走不全により、下腿外旋が助長される。さらに①の過程を進める必要あり。


◆考察
 8年間の膝関節痛の病歴と共に3回の関節鏡手術歴によって、下肢全域にわたって重度の皮下組織の滑走不全がみられる。皮膚・皮下脂肪が筋の活動を妨げるとともに、筋の過緊張をもたらしている。これによって、下腿外旋アライメントが固定化し、さらに膝外側コンパートメントへの圧が増大。動的アライメントも重度の動的外反。
 上記に対して、神経筋協調性を改善する上では、筋の正常な活動を妨げる皮下組織の滑走不全の解消が不可欠。その後、筋間リリースにより、数年間にわたって同時収縮していた筋間を開放する。下腿外旋を伴わない正常な膝完全伸展が得られたら、動的な運動学習を進める。


2011年3月10日木曜日

某プロ野球トレーナーからリアライン・インソールについてのレポートが届きました

以前、ここに書いたプロ野球選手のリアライン・インソール使用状況について、トレーナーの方から経過の報告をいただきました。

以前の記事: http://realine-glab.blogspot.com/2011/02/blog-post_23.html


先日、インソールを送っていただき現在、ランニングシューズで使用しておりますが選手の反応は良く、感謝いたしております。また、片脚スクワットでのknee-inもシューズを履くと改善されます。



脂肪体の症状は疲労が溜まると出てはいますが、プレーは継続して出来ております。以前はお伝えしていませんでしたが、シンスプリントの症状がありましたが、緩和されてきています。


もう少し慣れてきましたらスパイクでの使用も考えておりますので、またご報告させていただきます。使用初日より違和感なく履けていまして、10日程使用しております。

2011年3月9日水曜日

リアラインのキャッチフレーズ

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                             からだのゆがみを科学する
                  ReaLine
                                realine to restore real-line
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                                http://www.glabshop.com/

2011年3月4日金曜日

バーニーズニューヨーク新宿店でRAMENTA R販売中

知人がバーニーズニューヨーク新宿店でRAMENTA Rを購入し、写真を送ってくれました。
新宿駅東口を出て伊勢丹方向に歩き、ビッグカメラの手前を左に折れる、バーニーズニューヨーク新宿店のビルがあります。地下2階から9階までの店舗で、婦人靴売り場は地下2階とのこと。

店員さんと話すと、お客さんはまずソールのデザインと形状に驚き、履き心地でさらに驚くとのこと。品薄状態で、在庫を増やしたいと話しておられました。

2011年3月3日木曜日

横浜での変形性膝関節症の研究をお手伝いしてくださる方を募集!

横浜で変形性膝関節症の運動療法についての研究をお手伝いしてくださる方を募集しています。週に1-2回、県立汐見台病院に行って、レントゲン撮像をサポートしていただく内容です。トータルで40回ほどになると思います。運動を指導した経験のある方ならどなたでも大丈夫です。
 
研究費が少ないので、あまり十分なお礼はできません。研究をやってみたいという方、研究を通じて社会に貢献したい方、ヒザ痛に悩む方に少しでも貢献したい方、など動機は問いません。是非お気軽にお問い合わせください。

ご返信お待ちしています。
info@ortho-pt.com (蒲田研究室)