リアライン日記・・体のゆがみを取り除くリアライン・コンセプト: リアラインコンセプトcase study: 鼠径部痛症候群(スポーツヘルニア)

2011年3月26日土曜日

リアラインコンセプトcase study: 鼠径部痛症候群(スポーツヘルニア)

鼠径部痛症候群は以前はスポーツヘルニアという診断名で有名になりました。近年、スポーツヘルニアは鼠径部痛症候群の多様な病態の一部と位置付けられています。手術適応は、3か月以上の保存療法に反応しない場合にほぼ限定されており、また手術後の回復も必ずしも良くない例もあります。このことから、初期の保存療法が特に重要視されています。

特にサッカー選手に多く発生します。これが原因で引退するJリーガーも多いと聞きます。また、高校や大学のサッカー選手も、鼠径部痛症候群のために長期間練習できない選手も多いと聞きます。

引退を決めるのは、このブログをじっくり読んだ後にしましょう。慢性的な鼠径部痛に悩まされているスポーツ選手とその治療にあたるセラピストに治療のヒントを得てもらうため、私が経験した症例を紹介したいと思います。


【プロフィール】
 高校2年生のサッカー部主力選手。

【評価】
 痛みは、鼠径部周辺、鼠径靱帯、腹直筋起始部付近に圧痛あり。右股関節伸展による腸腰筋ストレッチおよび歩行の右立脚期、いずれも鼠径部から腹直筋起始部付近にかけて疼痛。正常歩行はできず、左荷重でゆっくりとしか歩けない。ジョギング不可能。

 背臥位での股関節開排では、右に可動域制限と鼠径部の疼痛出現。

 アライメントは右寛骨前傾、右恥骨が下制位であり、徒手的に右寛骨を後傾させると右股関節の開排制限は消失。すなわち開排制限の原因は恥骨結合の上下のずれによるもの。

 鼠径靱帯は上前腸骨棘と恥骨結合を結ぶ直線から下方(遠位方向)に凸に彎曲。 


【治療】
治療方針
 1)鼠径部拘縮の解消
 2)右寛骨の後傾、右恥骨の挙上
 3)下部腹横筋による骨盤安定化
 4)股関節周囲の2関節筋の柔軟性回復

1)皮膚リリース: 筋の柔軟性に対策を加える前に、まず皮膚と皮下の筋との間の滑走性を確認し、滑走性の不良があれば皮下組織のリリースを実施。具体的には、大腿筋膜張筋、縫工筋起始部、鼠径靱帯上、そして腹直筋起始部付近の皮膚の滑走性を改善。背臥位および立位で右寛骨を前傾させる軟部組織の緊張を解消することに成功。

2)寛骨のリアライメント: 骨盤ローリングエクササイズによる寛骨対称化、左ヒールプッシュ(右腹直筋の単独収縮)による右恥骨の挙上。以上により、寛骨の対称性を獲得。

3)腹横筋下部は、強制呼気による腹横筋単独収縮を促すことによりコントロール可能に。

4)特に長内転筋、大腿直筋上の皮下組織・筋膜間のリリースを行うことにより、正常な筋緊張レベルを獲得。

【結果】
以上の治療を実施(約30分)により、active SLR、歩行時の疼痛は完全に消失。右腸腰筋ストレッチの肢位では、腹直筋起始部の疼痛がわずかに残存。軽いジョギングは可能なレベルに疼痛寛解。


【まとめ】

鼠径部痛症候群(スポーツヘルニア)は慢性化しやすく、難治性であることはよく知られている。これが原因で競技生活の引退を決断せざるを得ない場合も多い。

このような病態に対して、徹底した皮膚のリリースにより、鼠径部拘縮が解消されれば、骨盤アライメントの対称化と安定化が得られやすくなる(リアライン)。鼠径部拘縮の解消と骨盤対称化の2つが達成されることにより、ほぼ疼痛は寛解する。

その後は、この状態を持続するため安定化トレーニングが必要となる(スタビライズ)


⇒ 治療を受けたい方はアオハルクリニック「ゆがみ外来」にお越しください。
   http://www.aohalclinic.jp/



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