ご無沙汰しています。久しぶりのCase studyです。
本日は、左先天性股関節脱臼の後、覚えている限り一度も左股関節開排制限がとれたことのなかった50歳代女性の症例です。
◆病歴
左先天性股関節脱臼。
その後、脱臼の経験はないが、左股関節に詰まり感と開排制限が続いている。
3ヶ月前に階段で転倒し、両膝を強打。それ以降左股関節の歩行時痛が出現し、持続している。
◆身体所見
左股関節
開排制限(左右差4横指)
屈曲制限(100度)
屈曲内転にて恥骨部痛
歩行時痛・跛行
軟部組織滑走不全
大転子拘縮
腸脛靭帯・大殿筋・外側広筋拘縮
アライメント
左寛骨前傾
左恥骨下制位
◆治療
徒手的に恥骨アライメントを矯正すると開排制限解消(生まれて初めて!)
皮下脂肪リリース
大転子、腸脛靭帯、大殿筋、外側広筋、大腿筋膜張筋、鼠径靱帯
◆考察
恥骨アライメントを徒手的に整えたのみで開排制限解消したことから、恥骨のズレを伴う左寛骨前傾を予防する対策として、の鼠径部拘縮の解消が必要。そこで、鼠径靱帯、大腿筋膜張筋、縫工筋状の皮下脂肪リリースを行い、背臥位での寛骨アライメントが対称化した。次に、左股関節外側の軟部組織の緊張を軽減するため、大転子周辺の皮下組織リリースを行った。これにより歩行時痛を含む全ての主訴が消失した。
恥骨のマルアライメントに関連する股関節可動域制限や運動時痛において、ストレッチや可動域訓練を含む股関節開排エクササイズは全くの無力である。これに対して、恥骨結合のリアライメントの効果を確認することにより、寛骨アライメントの関与の有無を判定する事ができる。本症例にように、寛骨のリアライメントのみで開排制限が解消される症例は多いことを踏まえて、評価治療をすすめることが必要である。
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